■ 「恋と恋するユートピア」週イチ リツイートキャンペーン ■
「ふぁ、はぁぁ～～～」
代 歩 「大きなため息ね、和哉。どうかしたの？」
「俺がため息つく理由なんて、決まってるだろう」
代 歩 「……女子にモテない事？」
「違うって、男女交際正常化委員の事だよ！ こうして昼休みまでつぶして、代歩と二人でミーティングしてるのに……」
代 歩 「そんなの、今に始まったことじゃないでしょ。それより……お弁当は？」
「お弁当？ ここにあるだろ、代歩が持ってきてくれたヤツ」
代 歩 「そうよ、持ってるだけじゃダメ。早く食べないと、昼休み終っちゃうわよ」
「それもそうだな。せっかくの手作り弁当だし……いただきま～す」
代 歩 「……ドキ……ドキドキ」
「……うん、美味い！」
代 歩 「そ、そう……ホッ」
「これ、俺の好きなおかずばっかりだよな。気をつかってくれたのか、代歩？」
代 歩 「たっ、たまたまよ……ただの、偶然よ」
「そいつはラッキーだな、俺。でもさ、いつもこんな美味い弁当作ってくれて、ありがとな」
代 歩 「わ、わたしはおばさまに頼まれて、仕方なく作ってるんだからね！ 別に和哉のためじゃないわ」
「わかってるって。それでも有り難いよ」
代 歩 「なら、いいのよ……ああ、もうっ！ そんな子どもみたいにこぼさないの、和哉」
「おっ、悪い悪い、つい夢中になって食べてたから」
代 歩 「ふふふっ、もう和哉ったら、ほっぺにもご飯粒ついてるわよ」
「えっ、どこに？」
代 歩 「しょうがないわね……はい、取れたわよ」
「んぐんぐ、もぐ……サンキュー……んぐ」
代 歩 「もぉ、食べながら話さないの。それによく見たら、ネクタイまで曲がってるじゃない、だらしないんだから」
「いや、未だにこのネクタイってやつ、うまく結べなくてさ」
代 歩 「やってあげるから、動かないで」
「お、おう……」
代 歩 「……何か、こうしてるとまるで……」
「新婚夫婦みたい……だな、代歩」
代 歩 「えっ……ぅ、うん……そう、かな……」
「な～んて、そんなわけないよな、俺とお前じゃ」
代 歩 「ば、ばっかじゃないの、そんなの当然でしょ、勘違いしないでよねっ！」
「そんな顔真っ赤にして怒るなよ、ジョーダンだろ、ジョーダン」
代 歩 「まったく……ネクタイくらい、ちゃんとできるようになりなさいよ」
「そうだなぁ……わかったよ。でもできるようになるまでは、代歩にやってもらうとするか」
代 歩 「えっ？」
「ん、どうした？」
代 歩 「なんでもない……そんなの、和哉が面倒なだけなんでしょう。もうわたしがいないとまるでダメなんだからっ」
「そうだな、俺、代歩に甘やかされて育ったからなぁ～」
代 歩 「なっ、何言ってるのよ、もぉ！ わたしは和哉のお母さんじゃないわよっ」
「ふう～、ごちそうさま、お母さん。お腹いっぱいになったら、急に眠くなってきたな……ふわぁ」
代 歩 「……すぐ横にならないでよ。それより委員のこと、どうするの？」
「それがあったか……つーか無理だよな、あのクラスでカップルを作れ、なんてさ」
代 歩 「そうね、それについては和哉に同意するわ」
「なんてったってうちのクラス男女関係、ガチガチに冷え切ってるからな」
代 歩 「ええ……ほぼ、男子のせいでね」
「何だよ、それ……あっ、今日のこと言ってるのか？あれは不可抗力だろう」
代 歩 「どこが『不可抗力』なのよ。あんなイヤらしい本、教室に持ち込むなんて……考えられないわ」
「野郎がたまたま隠しもっていたエロ本見つけたくらいで、女子も大袈裟だって。あれは健康な男子の証、みたいなものだって」
代 歩 「何が健康よ、ばっかみたい」
「うるせーな、あんなんで大騒ぎなんて、そっちこそバカだ」
代 歩 「随分と、肩を持つのね……まっ、まさか、和哉は持ってないよね？」
「何を？」
代 歩 「決まってるでしょ、もう……ああいう本よ、昨日の男子が持ってた本みたいなやつ。持ってるの？」
「……ノーコメント」
代 歩 「ちゃんと言いなさい、和哉っ」
「日本国民の権利を行使します。我に言論の自由あり、完全黙秘を宣言する」
代 歩 「持ってるのね………………もぉ、ケダモノ！」
「おいおい、その言い方はないだろう。フツー、俺ぐらいの歳のやつは、みんなエロ本の一冊や十冊、持ってるって」
代 歩 「じゅ、十冊も持ってるの、和哉？」
「物の例えだって。持ってるって言っても、せいぜい………………十冊以上？」
代 歩 「やっぱり……最低……」
「そんなに軽蔑の眼差しで見るなよ。仕方ないじゃないか、俺、彼女いないんだし」
代 歩 「……えっ？」
「そういう孤独な青春の送る男子にとって、エロ本は心の恋人なんだ！ 癒しなんだよ癒し、わかるか？」
代 歩 「わかりたくないわ。彼氏がいないからって、女子はエロ本買わないわ」
「女子は妄想で何とかなるんだろう。しかし我々非モテ男子にとって、エロ本はなくてはならない、必要不可欠なものなんだよ」
「この世にエロ本がなかったら、俺達はこの熱い青春のほとばしりをどうやって発散すればいいんだ！？」
代 歩 「言ってること、支離滅裂ね……まあ、熱い想いだけは少しわかったわ」
「そうか、わかってくれたか。さすが幼い頃からの腐れ縁、やっぱり代歩は他の女子とは違うよな」
代 歩 「な、なによ、別にわたし、エロ本を認めたつもりは……」
「これでエロ本は、代歩も公認……」
代 歩 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ、やっぱりおかしいわよ」
「何がおかしいんだよ？」
代 歩 「その本って、たくさんのモデルさんが載ってるんでしょ？」
「まあ、そりゃそーだが……写真集は別だけどさ」
代 歩 「細かい事はいいの！ とにかく『心の恋人』なんて言ってるのに、そんな不特定多数の人に欲情するなんて、変じゃない？」
「いや、エロ本ってそういうものだろ、よりどりみどりなのがいいんじゃないか」
代 歩 「そういうの、やっぱりダメだと思うわ。和哉はそんなにたくさんの子の裸を……もうっ、いい」
「何怒ってるんだよ、代歩。だったら特定のモデルだけ愛せっていうのか？」
代 歩 「そういうことじゃなくて……」
「わかんないなぁ、もう……あっ、じゃこういうのはどうだ？」
代 歩 「こういうのって、どういうのよ？」
「今度から一人だけにするよ………………代歩に」
代 歩 「わっ、わたし！？」
「そう。代歩の写真を、エロ本代わりにオカズにするから」
代 歩 「わたしの、写真って……エッチな写真なんか、持ってないわよね？ ねっ！？」
「もちろん。だから後で、代歩のエッチな写真撮らせてくれよ、なっ？」
代 歩 「そ、そんな……バカじゃないの、もぉ！」
代 歩 「そんな恥ずかしい事なんて、できるわけないじゃない……」
「そうか、やっぱりダメか、残念だなぁ……代歩の写真があれば、もう他のエロ本やＤＶＤなんかいらないんだけど」
代 歩 「………………それ、ホント？」
「本当だって。ああ、代歩ならお願い聞いてくれると思ったんだけど……う～ん、残念」
代 歩 「あ、あの……か、和哉が、どうしてもって、言うなら……」
「………………えっ？」
代 歩 「………………えっ？？」
「じょ、冗談だよ……もちろん」
代 歩 「そ、そうよね～」
「そう、冗談冗談」
代 歩 「わたしだって、冗談に決まってるじゃない……」
「……のワリには、顔真っ赤になってるぞ」
代 歩 「かっ、和哉だって、わたしの１００倍くらい赤いじゃない！」
「ハッ、ハハハハハッ」
代 歩 「ふふ、ふふふふふっ………………もぉ、和哉のバカ」
