■ 「恋と恋するショートストーリー」 奈々緒編 「女の子だって、憶えちゃう」 ■

和 哉
「掃除当番ってマジ、ダルいよな」
奈々緒
「そうそう、魔王退治の後にやる仕事じゃないわよね」
和 哉
「お前いつの間に、世界を救ってきたんだ」
奈々緒
「フフッ、世界を救うというより、この一言でほら、この話の世界観を学園モノから一気にファンタジーに変えたのよっ」
和 哉
「そうか、じゃあ俺は今日から選ばれし勇者か、いざ仲間を集めて冒険の旅に!」
奈々緒
「センセイ~、大崎くんがわけのわかんないこと言って掃除サボってます~!」
和 哉
「ああ、俺だけ一人痛いヤツにしゃがって」
奈々緒
「まぁまぁ、和哉、あそこ見て、教室の隅っこ」
和 哉
「なんだ、何があるんだ?」
奈々緒
「あはははっ、見ろ、ゴミが人のようにゴミ箱から溢れかえっているわ」
和 哉
「バルス!」
奈々緒
「目がー目がー!!」
和 哉
「センセイ~、高杉さんが目が痛いそうなので保健室に連れて行きます」
奈々緒
「いやらしい、保健室に連れ込んで何をする気なの、高瀬くん」
和 哉
「フフフッ、分かってるだろう」
奈々緒
「いやぁん♪」
和 哉
「つーか、俺達フツーに掃除さぼってない?」
奈々緒
「だから、あのゴミを捨てに行きましょ~♪ レッツラゴー♪」
和 哉
「でも高杉、この位置からよく、ゴミ箱の中が見えたな」
奈々緒
「何を隠そう、こう見えてもあたしの視力は1.2なのよ♪」
和 哉
「なんだとっ!? ……って、それフツーじゃないか」
奈々緒
「てへっ、バレてしまったたか。実は昼休み、パンの袋捨てる時にいっぱいだったのを見ていたのさ~」
和 哉
「そーか、じゃあ捨てに行くか」
奈々緒
「いざ、行こー行こー♪」
 ………………
…………
……
和 哉
「……ふぅ~」
奈々緒
「なに大きなため息ついてるの、どんな悩み? 悪いけど包茎の相談だったら、専門医のところ行って」
和 哉
「そんなんじゃないって。大体どこの世に、そんな悩みを女子にするヤツがいるかよ!」
奈々緒
「だったらどんな悩みなのかな、和哉くん?」
和 哉
「もちろん、委員会の事だよ。こんなに苦労してるのに、問題ばっかり山積みでさ」
奈々緒
「そうね~、今日はエロ本没収事件とか、あったわよね」
和 哉
「没収された本を何とか女子から取り返してくれって、紳士会の連中に頼まれたんだけどさ、かなりの難題だって」
奈々緒
「ふふふっ、エロ本といえばさ~♡」
和 哉
「うん?」
奈々緒
「最近のエロ本ってさ、おまけのDVDに頼るのはイクナイ!」
和 哉
「おいおい唐突だなぁ、でも確かにそうだ。あんなのつけるなら、もっと中身を充実させてくれって。動画ならPCでいくらでも見れるんだし」
奈々緒
「そうそう、それとエロ本のモデルのコメントって絶対、オヤジが書いてるよね~♪」
和 哉
「ああ、ヘンなの多いもんな」
奈々緒
「69番、高杉奈々緒、エロ本のコメントやります~! 拍手~」
和 哉
「……パチパチパチ~」
奈々緒
「きゃっ! さっきから寒いと思ったら、あたしのクリの皮剥いたでしょ?」
和 哉
「アハハハッ、なんだよそれ~」
奈々緒
「うまいでしょ、あたしは『千の仮面を持つ少女』なのよ」
和 哉
「つーかお前、本当にエロ本好きだな、女なのに」」
奈々緒
「我が家はエロ本天国なのさ。男兄弟三人に挟まれてるから、しょうがないけどね」
和 哉
「そうか……でも家に女の子がいたら、みんな少しは気を使わないか?」
奈々緒
「連中、リアル妹には全く気を使わない生き物なのよ」
奈々緒
「気付いたら兄貴達のエロ本が隠してあったから、憶えちゃったのも早かったな~」
和 哉
「お、憶えたって、何を……」
奈々緒
「ん? おなにぃよ♡」
和 哉
「たっ、高杉、お前、何気にとんでもない事カミングアウトするなって」
奈々緒
「……女の子だって、エッチな気分になる時もあるのよ」
和 哉
「おい、だからもう……」
奈々緒
「あれって、軽い運動みたいなものよね~」
和 哉
「うううっ」
奈々緒
「でもあたしはちょっと気持ちよくなったら、スグ満足して止めちゃうな~」
和 哉
「そ、そうなんだ……あは、ハハハッ」
奈々緒
「寝る前とか、シャワーの時とか……ね?」
和 哉
「おいおい、生々しい想像しちゃうだろう」
奈々緒
「顔が真っ赤ですよ、和哉く~ん」
和 哉
「うるさいな、しょうがないだろう、俺だってヤリたい盛りの健全男子なんだし」
奈々緒
「そうだよね。じゃああたしが具体的に、どうやってするのか……聞きたい?」
和 哉
「なっ……ゴクっ」
奈々緒
「聞きたい、よね?」
和 哉
「高杉、お前……」
奈々緒
「それはね……」
和 哉
「おおっ、そ、それは……」
奈々緒
「……おっしえてあげな~い♪」
和 哉
「くそっ、さんざん期待、持たせやがって」
奈々緒
「ほっほっほっ、和哉もまだまだですなぁ」
和 哉
「残念だけど……少しホッとした」
奈々緒
「んっ?」
和 哉
「いや、何でもない……」
奈々緒
「ならいいけど。ほら、焼却炉まで後少し、あたし達の戦いはまだまだこれからよ~!」
和 哉
「そうだな、10週打ち切りになんて、なってたまるか~」
奈々緒
「目指せ、長期連載&アニメ化よっ!!」


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